下剋上受験

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見える世界が変わるということ


くだらない話で申し訳ないのですが、先日こんなことがあったのです。

妻と娘がショッピングモールみたいなところへ買い物に行ったのです。

たくさんの洋服屋さんや飲食店が入っています。

そこを歩いていると・・・

「えー、どうしてこのお店つぶれるのぉ？ 結構お客さん来てたのになあ」 と妻が言った。

わりと安かったからね、安くしすぎたのかな、なんて言っていたそうです。

娘は何のことかわからず、「どこにそんなこと書いてあるの？」と聞くと、こんな看板が入り口に立ててありました。


（実際の看板ではありません。娘が撮った写メをもとにそっくりに加工しました）

街中には英単語が溢れていますが、こういうお店は、「普通」なら誰でも読める英単語までを英語でカッコよく、読めない人もいるかもしれない言葉は日本語で表記するものです。

「ｂａｒｇａｉｎ」は中辛なので、「バーゲン」とするお店が多い。

「sale」は甘口なので英語のままでも問題ない。

ダサいお店になると高齢の方もくるので、「セール」でしょう。

さらに高齢者対応のお店は「お買い得」でしょうか。

ところが、英文字も２行並ぶと話は変わってくるのです。

私たちのレベルになると、２行はもう長文扱いなのです。

よって、「 SPECIAL　PRICE 」 は最初から読もうとしない。視界に入らないというか、理解しようとする気がないのです。景色にとけこむ。

私たちが見えている世界を何となくご理解いただけたでしょうか。


この話を、帰宅した私に話してくれました。

写メを見た私は、すぐにバーゲンが今日で終わりなんだなと理解できたのです。

おかしいと思いませんか。

私も、妻と同じ中卒で、英語アレルギーなのです。

おそらく以前の私なら読めなかったと思います。読もうという気がないのです。


勉強するって不思議ですねえ。

SPECIAL　PRICE　と書けと言われるとそりゃ無理だけど、読むだけなら勘でわかるようになる。

出来ることが以前より増えたという自信なのか、視力が積極的になったのか。


「えー！ どうして読めるのぉ？」と妻が私に言うのです。

「これくらいは常識だろ」と言いながら、（ん？ 以前のオレなら読めたかな？）と思いました。

私が知っている仮枠大工の親方と職人さんたち、きっと全員読めないし理解できないと思う。つまり、妻と同じ風景。

知っている鉄筋屋の連中、同じく見えていないはず。英字ということすら知らないかもしれないやつら。

私の親戚に職人さんがいますが、やっぱり同じ景色なんだと思います。


これ、「普通」の人たちからすると、「ネタでしょー」というほど信じられないかもしれません。

それくらい見えている世界がまるで違うのです。

視力が積極的になるために、小学生たちは頑張って勉強してほしい。

勉強し損ねた私は、「普通」の人より強く願っています。

2018.8.22

桜井信一

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